アクアリウムとバクテリアのお話し
こんにちは、ミトコンです。
皆さん、アクアリウムをしていて、よくバクテリアという単語を耳にしませんか?
実際に、バクテリアがどのような働きをしているかについては疑問が多いと思います。
今回は、大学時代に微生物学の研究室に所属し、バクテリアを用いて実験を行なっていた私がバクテリアの働きと増えやすい温度などについて、説明していきたいと思います。
バクテリアってなに?
まず、バクテリアについてです。
生物学的にバクテリアとは細菌のことを言います。
少し、生物学的な内容になりますが地球上に存在する生物は、細胞の形態から以下の3つに分類されます。
- ユーカリオータ(真核生物)
- アーキア(古細菌)
- バクテリア(細菌)
ユーカリオータとアーキア、バクテリアの違いは細胞内に核が存在するか存在しないかで区別されています。
そして、アーキアとバクテリアの違いは細胞壁の構成要素が異なります。
※アーキアについては、特殊環境に生息していることがほとんどなので、ここでは詳しい話は省きます。
基本的にバクテリアは、私たちの体表上にも生息しており、どこにでも存在しています。
バクテリアで馴染み深いものは、納豆菌では無いでしょうか?
熱帯魚と同じように、バクテリアにも学名が存在します。
例えば、ネオンテトラの場合、学名は Paracheirodon innesi です。
基本的に学名表記で販売されているアピストグラマ・アガジジィの場合は、 Apistogramma agassizi となります。
納豆菌(枯草菌)の場合は、 Bacillus subtilis natto と表記されます。
バクテリアの働き
皆さんは、水槽をリセットする際に、アンモニア臭がすることはありませんか?
このアンモニア臭の正体は、熱帯魚のふんや食べ残しから実際に発生したアンモニア(NH3)です。
アンモニアは生体にとって猛毒です。
水槽を長期維持をするためには、アンモニアの分解が必要不可欠になります。
そこでアンモニアを他の物質に変換する微生物が必要になります。
そこで登場するのが亜硝酸菌と呼ばれる菌です。
亜硝酸菌にも様々な種類が存在しますが、代表的なのはNitrosomonas europaea だと思います。
この細菌のおかげで、アンモニア(NH3)が亜硝酸(HNO2)に変換されます。
亜硝酸は、アンモニアに比べ毒性は弱まりましたが、依然として魚などの生体にとっては悪者です。
続いて登場するのが、硝酸菌です。
硝酸菌の代表的な種が、Nitrobacter winogradskyi です。
硝酸菌は亜硝酸を硝酸に変換します。硝酸は強酸として知られていますが、水槽に残存する量では全く無害です!
上記では、主にアンモニアに関わる菌の話をしていましたが、ここからはその他の微生物の働きを書きます。
よく、バクテリア剤として使用されている、バクテリアがいます。
皆さんの食卓にも並んでいる納豆菌(枯草菌)です。
ここからは、その他の菌の代表として納豆菌を扱って書いていきます。
納豆を食べる時、ねばねばしますよね?
あれは、納豆菌が豆の表面で物質を産生し、バイオフィルム化してるからです。
この時、納豆菌は有機物(汚れ)を分解して栄養を得ています。
水槽内のバクテリアも同じようにフィルターなどに住み、有機物(汚れ)を分解する働きをしています。
その他にも、バイオフィルムを用い、水中の汚れ(有機物)を捕らえているとも考えられています。
ここで、バクテリアの働きについてまとめます。
- 有害なアンモニアを無害の硝酸に変換する。
- 有機物(汚れ)を分解する。
バクテリアを増やすには
バクテリアの働きについて紹介しましたが、バクテリアの量が増えないと上の2つの効果は得られません。
では、バクテリアを増やす方法について、書いていきます。
まず、第一に考えられるのは、バクテリアを水槽に入れることです。
これは、バクテリア剤を添加するなどで、解決できます。
すこし、面白いことを考えたことがあるのですが、納豆自体を水槽に入れても良いのでは無いのかなと思います。
では、バクテリアを水槽に添加する以外に他の方法はあるのでしょうか?
これについて書く前に、バクテリアの育成条件の話をします。
バクテリアは、大きく2つのタイプに分けることができます。
酸素の存在下で増殖できるタイプ、酸素の存在下で増殖できないタイプです。
※微生物学的分類では、より詳細に分類分けされており、今回は私が分かりやすくする目的で簡略化しています。
上の亜硝酸菌、硝酸菌、そのほかの菌(今回は納豆菌)がどこのタイプに属しているかが重要です。
幸い、上の3つの菌は酸素の存在下で増殖できるタイプに分類されます。
続いて、バクテリアが増殖するのに重要な要素が2つ存在します。
それは、温度とpHです。
それぞれのバクテリアには、増えるのに適切な温度とpHが存在します。
Nitrosomonas や Nitrobacter の最適温度は28~39℃で最適pHは8付近です。
そして、Bacillus subtilis の最適温度は25~35℃で最適pHは7.5付近です。
水槽でバクテリアが増えやすい環境にしようと思うと、温度を上げる必要があります。
水温が28℃を超えると水草や魚に影響が出る場合があるので、最高でも27℃付近が最適だと思います。
pHに関しては、操作する手段があまり無いですが、水草の液肥で添加する水酸化カリウムでアルカリ性に傾けておくと良いと思います。
バクテリアを増やす条件をまとめると
- 水温を27℃付近の高めに設定する。
- pHを少しアルカリ性に傾ける(pH7.5付近)
になります。
終わりに
経験上、水槽立ち上げ時に高水温の方が水が安定するのが速いように感じます。
今回の内容が皆さんのアクアリウムの助けになればと思います。