「死」とは何か イェール大学で23年連続の人気講義 要約・感想

こんにちは、ミトコンです!
皆さんは、「死」について考えたことがありますか?
私は、小さい頃から死んだらどうなるのか?死後の世界はあるのか?など「死」に関する様々な疑問を抱いてきました。Amazonで本を探していたところ、「「死」とは何か」たまたま目に入り購入し読みましたので要約と感想を書きます。

「死」とは何か [完全翻訳版]
イェール大学で23年連続の人気講義

2019年
著者:シェリー・ケーガン
訳者:柴田 裕之
出版社:文響社

要約

死について考える前に・・・

死について考える前に、人間が何から出来ているかを考える必要があります。
人間の構成要素は一般的に2つの見方に別れます。

1つ目は二元論という考え方です。
二元論では、人間は身体と魂の2つの構成要素からなると考えられています。

2つ目は物理主義です。
物理主義では、人間は身体のみから構成されているという考え方です。

二元論から見た「死」

まず、二元論では「死」がどう捉えられるのか?
身体は物質から出来ていますが、魂は非物質的なものから出来ています。
二元論では、身体が死んだらどうなるかが問題になり、魂が生き残る可能性が挙げられます。

二元論の「死」とは、魂と身体の結びつきが断たれることを指すと言えるでしょう。

物理主義から見た「死」

では、物理主義の「死」とはどのような状態なのでしょうか?
物理主義では人間は身体のみから出来ています。
そして、人間を厳密に定義すると特定の多様な活動(P機能:personal機能)ができる身体といえます。

※考えたり、感じたり、意思を疎通させたり、愛したりする機能


すなわち、人間とはP機能している身体ということができ、物理主義の「死」とは、身体が壊れ機能しなくなることを指します。

著者は、P機能により得られる「心」を「魂」と呼ぶことができ違和感なく語ることができるため、物理主義を支持している。

「魂」は存在するのか?

身体に命を帯びさせているのは、いったいなんなのか?それを説明するためには魂を持ち出す必要があります。
二元論は、魂が存在すると主張するが物理主義は魂が存在しないと考えています。

それぞれの説の主張を下に書きました。

二元論の主張

命を帯びた身体は「魂」が接触している必要がある。

目的を持って行動するためには「魂」が必要である。

「魂」が人間をコントロールしている。

自由意志があるから「魂」が存在する。

考える能力があるから、「魂」は存在する

人間には感情があるから、「魂」は存在する

物理主義の主張

命を帯びた身体には、機能する身体が必要である。

目的意識は体の特定の構成要素である。

コントロールするプロセスが身体に組み込まれている。

脳が処理装置として目的を持って行動している。

コンピューターは考えることができる。

感情を持つロボットなどは想像できるが、感情や意識などに関しては二元論を否定することは出来ない。

物理主義は、最終的に二元論を否定することができなくなりましたが、否定できないだけがそれが正しいと言えるのでしょうか?

できないには2つの意味があり、
1つは、既知の事柄に関して、できないということ、これは、もうすでに分かっていることなので確実にできないと言えます
2つ目は、未知の事柄に関して、できないということ。この場合、やり方は知る方法が分からないが、その事柄自体を否定することはできない

結局、魂は存在するのか?
二元論の言うことは、信憑性に掛けるし説得力が無い、物理主義の言うことには、確実性が足りない。
なのでこの場合は良くて引き分けとなります。

そして、著者は物理的な立場を取ると主張しています。

すなわち、「人間は身体のみから構成されている」と主張しています。

人格の同一性ーその人が私というために何が重要か?

現在、私は家で文章を入力しています。3日後、同じ家の同じ場所で私が文章を入力しているとしたら、それは私と言えるのでしょうか?
この問題を人格の同一性と呼びます。

では、人格の同一性を認めるためには何が必要なのか?
(その人が同じ人だというのには何が必要か?)

魂説

同じ人だと言うには「魂」が必要。しかし、魂が入れ替わった際には他人になるがそれを知る方法がない。例えば1分後に魂が入れ替わったとすれば、人は1分しか生き残れないことになります。

なので、人格の同一性の魂説は信じるに値しないでしょう。

身体説

同じ人だと言うには「同じ身体」を持っていることが必要
では、足を切断した場合、どうなるのか?
皆さんは、依然として同じ人であると言うでしょう。

重要なのは、脳の部分(人格を形成する部分)を持っているかどうかです。

人格説

同じ人だと言うには「同じ人格」を持っていることが必要である。
※人格とは、信念な欲望、記憶、目標などの集まり全体を指す方便
では、10年後に私と思われる人がいるが、信念や目標などが変化していたら、それは私と言うことが出来るのだろうか?

答えは出来るだ、年齢が増えるにつれ人格も成長する。人格の重複と連続のパターンがあれば同じ人格と言え、同じ人であるといえるのだ。

どの説を採用するべきか

魂説
まず、初めに魂説だが、著者は魂説を信じていないので人格の同一性の魂説が正しいとは思えない

身体説か人格説か?

人格説
ナポレオンは1821年に死去しました。
もし、今の時代にナポレオンの記憶や思考など全く同じもの(全く同じ人格)を持った人が2人いたとしましょう。
この場合、二人ともナポレオンなのか?それとも、片方が本物のナポレオンでもう片方は違うのか?もしくは、2人ともナポレオンではないのか?

身体説
もし、私が事故で脳以外が使い物にならなかったとしましょう。
そして、脳が溶ける病気になった人が2人いて、それぞれ右脳と左脳を移植したとしよう。
この場合、二人とも私と言えるのか?それとも、片方が私で、片方は他人なのか?もしくは、2人とも私ではないのか?

上のようにそれぞれの説には、同じような問題が生じます
これらの問題を解決するには複製なしと分岐なしの条件を当てはめることができます。
すなわち、ナポレオンと同じ人格を持つ人が2人以上、私と同じ身体(脳)を持つ人が2人以上現れたら、誰もナポレオンでも私でも無くなるのです。

この場合、どちらの説が優れているのかと問われれば確信が持てないと著者は述べています。

上の問題は生き延びることを想定しています。そこで結局、生き延びるには、何が必要なのでしょうか?
おそらく、私達が望んでいることは、同じ身体で単に生き延びることではなく同じ人格を持って生き延びることでしょう

死の本質ーどの時点で死んだと言えるのか

私たちは、日々生きているが、死とは何をさすのか?

まず、私達は生命を維持するために心臓を動かしたり、肺を膨らませたり様々な機能を持っています。
これをB機能としましょう。

そして、私達にはもう一つ高次な考えたり、感情を抱いたりする機能を持っています。
これをP機能としましょう。

では、次の図を見ていただきたい。

図1. Aは生まれてからP機能が作動するまでの期間、BはP機能が作動してから停止するまでの期間、
CはP機能が停止してからB機能が停止するまでの期間、DはB機能が停止してからの期間を示す。

この図は、人の一生のうちのB機能とP機能の始まりと終わりを表したものです。
※「死」とは何か[完全翻訳版] P392 図8・2に手を加えたものです。

一般的には、①と②は同時に来ますが、脳死などの状況では図のようにバラバラにやって来ます。
では、上の図の場合、死んだのはどの時点になるのでしょうか?

人格説の場合は①の時点で死んだと言えます。
一方の身体説では②で死んだと言えるでしょう。

ここで言えることは、①の瞬間に大切なものを失い、②で身体が生きなくなり死ぬ。

死とは、身体が作動してから壊れることです。
すなわち、私の人格の終わりであり、私の終わりです。
死ねば全てが終わるのです。

死の価値観

本腰を入れた要約は9講までで止めさせていただきました。
本書では、1〜9講までが死の本質を追い求める内容で、10講〜15講が死に関する価値観の内容になっています。

10講では、死がなぜ悪いのかについて書かれています。
死のどこが悪いのかと問われれば、人生において享受できる良いことを剥奪するからと答えられます。

11講では、不死は本当に良いことだろうかについて書かれています。
今後の人生で、悪い状況が続けば不死が地獄と化す可能性が示唆されています。

12講では、人生の価値はどのように測るのかについて書かれています。
この先の人生において、良いことが悪いことよりも多ければ生きる価値があり、少なければ価値がないということになります。
また、人生自体にどれほどの価値があるのかも記載されています。

13講では、死にまつわる6つの問題が書かれています。
死が私たちの人生の場面において、どれほど影響を与えるのかが書かれています。

14講では、死をどのように捉えれば良いかが書かれています。
死は恐るべきもなのか、またどの程度恐れれば良いのかが書かれています。

15講は、自殺について書かれています。
自殺することを合理性、道徳性の観点から判断しています。

感想

本書は、死について真剣に考える機会を与えてくれる本でした。
死についての私の意見は、魂などは存在せず死ねば全てが終わり無くなると思います。
そこで、どのように人生を価値あるものに変えていくのか?
が最大の問題になってくるように思います。

では、人生において価値のあるものとは一体どういうものなのでしょうか?
本書では主に、経験などの内面的なものと、それに伴う実績や知識、関係などの外面的なものが欠かせないと述べています。
これらの欠かせないものをどのように手に入れるのか?

やりたいことをとことんやってみる
死んでしまっては、やりたい事もできなくなりますし、生きていてもP機能が損失した状態では何もできません。
しかし、人生を無駄にしないように注意する必要があります。
そこで、最良の選択をする必要があると思います。

人生というものは、選択の連続で成り立っていると思います。
何かを始めようとする時も終わろうとするときも選択が伴います。
この選択をするという行為に焦点をあて、今後の人生の価値がプラスになるように最良の選択をする必要があると思います。

死ぬ前にやりたいことを精一杯やろうと思わされる内容の本でした。

最後に

要約と感想を読んでいただきありがとうございます。
感想にも書きましたが、選択と人生についてのオススメの本を紹介します。

1つ目は、「「人生の勝率」の高め方」土井英司
成功するための選択の方法が記載されています。
内容も分かりやすく、対話形式で進むので読みやすいです。

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2つ目は、「エッセンシャル思考」 グレッグ・マキューン
人生において、全てやるのではなく重要なものを選択しやることの重要性を述べた本です。

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3つ目は、「LIFE・SHIFT」リンダ・グラットン/アンドリュー・スコット
現在、人間の寿命は伸び続けており、それに伴い人生戦略を改変する必要性を説いた本です。
3つの本の中では一番おすすめです。

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